光のもとでⅠ
「司! バトンタッチ!」
 昇降機から降りてきた茜先輩の声に振り返る。と、
「茜っ、それ、超危険人物だから近寄っちゃダメっ!」
「え? 何? 久、なんの話をしているの?」
「いいからいいから。近寄ると凍えて、触ると凍傷になるから今はダメ」
 それ……俺はいったい何者なんですか。
 茜先輩は訝しがりながらも会長に手を引かれていった。
 そりゃ、あの歌と映像の下で俺と翠があんなやり取りをしていたとは思いもしないだろう。
 翠の話し相手が誰かは気になるが、すでにタイムリミットを迎えている。
 うまくすれば、昇降機が上がるときに誰と話しているのかが見えるかもしれない。
 そう思ったときだった。
 諦めの境地で翠のいた場所に目をやると、男と指切りをしている翠が見えた。
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