光のもとでⅠ
 俺が揺れているのか?
 それとも、今日半日暗いところで目を酷使したから視界がぶれているのか……。
 俺の目には、翠の身体が震えているように見えた。
 ――否、ほかがぶれていないのに翠だけが震えているのはおかしい。
 昇降機が下がりきる前に、背の高い男がそこへ近づいた。
 そのシルエットには覚えがある。
 飛翔――。
「とりあえず飲め。行くのはそれからだ」
 朝陽の言葉に視線を移すと、
「すぐに行ってもかまわないけど、倒れても助けてあげないよ」
「誰がっ――」
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