光のもとでⅠ
 いや、違うな。
 貼り付けているわけじゃなくて、自然とその顔になっちゃうんだろうな。
「車あたためておくから、その上に俺のジャケット羽織って出てきちゃいな」
 壁にかけてあった自分のジャケットをリィの肩にかけて――この人自分はどうするつもりなんだろう?
 今、秋斗さんが着ているのは厚地でもなんでもない普通の白シャツ。
 十月とはいえ、その格好じゃこの時間は寒いと思う。
「テーブルにカモミールティーがあるよ。猫舌さんにも飲みやすい温度だから、ゆっくり飲んでから出ておいで」
 秋斗さんはノートパソコンを片手に部屋を出ていった。
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