光のもとでⅠ
 感情が運転に出やすい秋斗さんでも、さすがにリィを乗せているときは安全運転に努めるらしい。
 発進も停止も、何もかもが緩やか穏やかジェントルマンドライビング。
 マンションのロータリーにつけると、先に俺たちを降ろした。
 リィが一緒のときはこれが普通なんだろうな。
 ジャケットを返そうとしていたリィの行動を制すると、
「冷えるから、家までちゃんと羽織ってて? 返すのはいつでもいいから」
 本当にそう思っているのかもしれないけど、そのジャケットを持っている限り、次に会う約束をしなくても会えるとか思っている気がしなくもない。
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