光のもとでⅠ
 九階に着くと、碧さんと零樹さんが玄関まできて出迎えてくれた。
 零樹さんはリィと話したがっているわけだけど、捕まったら最後、とでも思っているのか、零樹さんとリィの間に碧さんが割り込んだ。
「翠葉は先にお風呂?」
 碧さんに訊かれてリィはコクリと頷く。
「んじゃ、俺がお湯入れておくから、とりあえずルームウェアに着替えちゃいな」
 そう言って俺はバスルームへ向かった
 風呂の準備なんて五分もあれば終わる。
 ルームウェアに着替えるのだってそんなに時間はかからないだろう。
 けど、リィが部屋から出てくる気配はない。
 不思議に思ってリィの部屋の前まで来ると、ドアは完全に閉まりきっていなかった。
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