光のもとでⅠ
 いかにも父さんらしい答えだった。
「それにな、世の中には好きな人に付き合っている人がいようが、結婚して子どもができようが、同じ人をうん十年も想い続ける人間もいるんだぞ?」
 父さんの視線がどうしてか静さんへ向く。
 翠葉もそれに気づき、
「え? 静さん……?」
「零樹、今お褒めに預かったのは私のことか?」
「静以外に誰がいるのさ」
 え? それって……。
「えっ!? じゃ、静さんってもしかしてうちの母をっ!?」
 思わず声が少し大きくなる。
< 6,698 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop