光のもとでⅠ
 朝食が終わると、翠葉は家を出る準備を淡々と進めいていた。
 見送られるときになってようやく「とあること」に気づいたようだ。
「蒼兄……私、すっかり忘れていたの」
「うん、やけに落ち着いているからそうかな、とは思っていたけど……」
 翠葉は今日も司と海斗くんと登校することになっているわけで、下に下りれば問答無用で司と会うことになる。
 昨日の今日で落ち着いて会えるものか、と不思議に思っていたわけだけど、やっぱり忘れていたか……。
「ちょっと下まで見送ってくるわ。ついでに打ち上げの件とか訊いてくる」
 父さんたちにはそう告げて玄関を出た。
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