光のもとでⅠ
 先に唯とエレベーター待ちしている翠葉はなんともいえない暗い表情をしていた。
 こればかりはね……。
 自分で前に進んで答えを見つけるほかない。
 俯いている翠葉の頭を見下ろしている間にエレベーターは一階に着いた。
 通路の先には海斗くんたちの姿がある。
 翠葉に視線を戻せば左手で胸を押さえていた。
 携帯を見なくてもわかる。
 きっと、今頃心拍が上がっていることだろう。
 ポン、と小さな頭に手を乗せれば、「蒼に……?」と俺を見上げる。
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