光のもとでⅠ
 エリート商社マンっぽいなりをした男が藤宮の制服を着たところを想像してみても、記憶はよみがえらない模様。
 神経質そうなシルバーフレームのメガネをかけているが――誰、デスカ?
「今日って身内日だけど――もしかしてふたりの子どももこの学校に?」
「えぇ、今年入学したの」
「うちは二年。ちょうど藤宮の人間と同じ年に生まれたってのに、全然絡めてないみたいでさ」
 あぁ、こういうのは相変わらずなんだな、と思う。
「藤宮」の人間だから子ども同士仲良くさせておきたい。どこかでつながりを持っていたい――。
 俺たちが学生の頃にもそんな傾向があったものだ。
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