光のもとでⅠ
「私、やっぱり誰かとお付き合いするのは無理かも……」
「どうして?」
 間髪容れずに若槻が尋ねる。と、
「だって……許容量オーバーです。それに、同級生が相手だったとしても、私は小学生で相手は高校生なのでしょう? 到底そのレベルには及びません」
 先に進む気はないのか……? そういう選択肢すらないのか……?
「でもさ、恋愛をしないとレベルアップはしないよ?」
 まるでゲームか何かのように話す。
「それでも……怖いから、これ以上先には進めない」
 とても思いつめたような声だった。
 俺はそこまで彼女を追い詰めてしまったんだろうか。
「翠葉、とりあえず深呼吸。……体、すごく硬直してる」
 身体が硬直するほどに……?
 キスして抱きしめてキスマークを付けて……。俺からしてみたら"それだけ"だ。あとは首筋や髪の毛に触れたけど、そんなものは愛撫のうちにも入らない。
「あ、ごめん……」
「ごめんなさいっ――なんか、ちょっと……ごめんなさい」
「ううん、いいよ。俺と蒼樹さんは違うし……。それに、今は体に触られること事体も怖いんじゃない?」
 ……何? 今の会話――。
 すぐさま携帯を取り出し彼女のバイタルを確認する。と、脈拍が九十を超えていた。
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