光のもとでⅠ
『まぁ、そう言わずに……。姫さん一緒だと男が釣れて釣れて巡回になんないから返却願いたいんだけど?』
 何を今さら――さっき戻れと言ったはず。
 あぁ、そうか……。その通信を翠は知らない。
 これは翠向けの会話だ。
「縄でもつけて帰って来い」
 突如翠の声が割り込む。
『ツカサっ、縄はひどいっ』
 今この校内において、俺の発言以上に自身の存在が最悪だということを本人は知らない。
『じゃ、今から連れて戻るけど、通って欲しいルートがあったら言って? 巡回ついでに客を落とすことも拾うこともできそうよ? も、ち、ろ、ん、姫効果でね?』
「……最短ルートで戻ってこい」
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