光のもとでⅠ
 そんな翠に俺が居たたまれなくなるのだから悪循環にもほどがある。
 その空気を破ったのは諸悪の根源――中学の同級生という男。
「御園生、クラス教えて? これ、投票するから」
 男は手元の簡易ブレスのバーコードを指差す。
「あ、一年B組のクラシカルカフェ。私、午後の二時間はクラスに戻るから、もし時間があったら寄ってね」
 翠は伝えなくてもいい情報まで丁寧に伝えて図書棟に戻った。
 その場に残されたのは男五人。
 何を思ったのか自己紹介を始めたけれど、覚える気はさらさらない。
 訊かれたことにも適当に返事をしていた。
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