光のもとでⅠ
 情報ってなんの……?
 もう一度自分の弁当を見たものの、やっぱり意味がわからず視線を翠に向ける。
「ほっ、本当になんでもないから」
 翠は慌ててプラスチック製の箸を手に持った。
 今翠が手にしている弁当箱は、俺の手の平に納まる大きさのもの。
 それは姉さんが幼稚部のときに使っていたと聞いたことがある。
「おいしい……」
 翠は一口一口、ゆっくりと味わうように咀嚼する。
「いつもこういう味付け?」
「家で食べるものと変わらない」
 卵焼きにカジキマグロの照り焼き、アスパラを肉で巻いたものと煮物。
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