光のもとでⅠ
 ドアは内開きのため、俺がいる場所から部屋の中は見えない。当然、部屋の中からも見えない。
「これ、なんの集会?」
「「「兄妹会議?」」」
 最後に疑問符がつくところまで同じイントネーションで三人の声が揃った。
「あぁ、そう。じゃ、俺は邪魔ね」
 司は二言目にはあっさりと入室を辞退した。
「彼、淡白だよね?」
 部屋の中から聞こえてきた若槻の声に同意する。
 俺もそう思う。俺なら絶対にあそこじゃ引かないし、中に入ろうとするだろう。
 すると、部屋からはクスクスと三人の笑い声が聞こえてきた。
 彼女の小さな笑い声にほっとする。
 まいったな……。
 こんなにも、彼女に一挙一動する。それは彼女も同じなのかもしれない。けど、たぶん俺のほうが些細なことに心動かされてる。
 君が俺の言動や行動に不安になるのなら、俺は君の表情ひとつにだってうろたえるんだ――。
< 680 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop