光のもとでⅠ
 翠は――視線を移したとき、
「も、桃華さんっ、校庭へ行こうっ?」
「翠葉っ!?」
 翠は簾条の手を掴んで図書室を出ていってしまった。
 後ろ姿からわかったもの。
 水色のワンピースで、腰の辺りに白いリボン。
 前から見たときは白いものの面積が多かった気がする。
 そんなことを考えながら図書室を出る。
 外は街灯やランタンの光がなかったら真っ暗だっただろう。
 もう陽は完全に沈んでいる。
 桜香苑から吹いてくる風もかなり冷たいと感じた。
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