光のもとでⅠ
 そんな翠の状況を知ってか知らずか、
「姫のエスコートは王子でしょ?」
 と、俺に翠を差し出す。
 ものの見事、生贄か何かのように……。
 が、その手はすぐに消失。
 翠が勢い良く引っ込めた。
 いつもなら間髪容れずに問い質すところだが、今はとりあえず簾条に話を振った。
「……っていうか、それアリスっぽいけど?」
「そうね。あんたも吸血鬼だし。……間違っても翠葉の血とか吸わないようにね?」
 簾条は笑みを浮かべ、俺たちに背を向けて立ち去った。
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