光のもとでⅠ
 全部本音、嘘偽りなし。
 本当にどうしようもないやつ……。
 俺は思わず空を仰ぐ。
 そこには秋の四辺形と呼ばれる星を見つけることができた。
 翠は俺に好きな女がいると気づいているにも関わらず、それが自分だとは認識しない。
 スタート地点から誤解だらけだ。
 むしろ、誤解しか存在しないし、これ以上の誤解なんてあり得ない。
 でも――。
「それを言うなら翠も、か。いや、実のところは俺じゃなくて翠が困るからなんじゃないの?」
「え……?」
「翠だって好きなやつがいるだろ?」
 翠はバカか? 正真正銘のバカなのか?
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