光のもとでⅠ
 観覧席を担う階段の段差は高い。
 六十センチほどはあるだろう。
 だが、ここまで慎重にならなくても、と思わなくもなく、そんな姿を見ていると、思わず口元が緩む。
 最後の一段を下りると、翠は目の前に広がる光景に「わぁ……」と声にした。
「みんな、ワルツとか普通に踊れるのね」
「あぁ、そうか……。翠は体育がレポートだから知らないんだな。ダンスは体育の授業で習う」
「そうなのっ!?」
「この時期は一ヶ月間、週に二回は男女混合授業でダンスの練習。試験もあるから試験をパスする程度には踊れる」
 翠が知らなくても無理はないか……。
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