光のもとでⅠ
「別に隠してるわけじゃないよっ!? ただ、このまま話していったら全部話しちゃいそうな気がするから、黙秘っ」
「……それ、つまり俺に言いたくないって言ってるようなものだと思うけど?」
 翠は今気づいた、という顔をして瞠目する。
 そして、唇を一度引き結んでから話し始めた。
「言えることがあるとしたらね、この人が好きなんだってわかったときにはもう失恋が決定していたの。でも、すぐには諦められそうにないから……だから、もう少し好きでいたいな――」
 秋兄が相手で失恋はあり得ない。
 それなら誰を……?
 翠に視線を落とすと、頭の角度が変わっていた。
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