光のもとでⅠ
 もし翠が動けなくなったとしても、木の陰に隠して自分が陽動で表に出れば注意を引けるはず。
 頭の中でいくつかの逃げ道を考えていると、流れていた曲が止まった。
「曲が――」
 と、口にしたのは翠。
 インカムからは茜先輩のカラっとした声が聞こえてきた。
『翠葉ちゃーん、ごめんねー? 曲が終わっちゃったみたい』
 先輩ではあるものの、訂正を強要したくなる。
「終わっちゃったみたい」ではなく、「明らかに終わらせただろうっ!?」と。
 次には朝陽の声が聞こえてきた。
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