光のもとでⅠ
「翠っ!?」
 俺、いつの間に手を放したっ!?
 来た道を戻る途中、翠の後方に生徒が見え木の陰に身を隠した。
 翠まであと少しだったが今は動けない。
 もう少し――あと少しで翠がこの木の脇を通る。
 その瞬間に翠の腕を掴み引き寄せた。
 目立ちすぎる水色の衣装をマントの中に隠し、声を発しないように手で翠の口元を押さえる。
「姫ーっ!?」
「今、絶対にいたよな?」
「いたいた。あれー? アリスの格好って暗くっても意外と見つけやすいはずなのに」
 マントの中に収納して正解……。
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