光のもとでⅠ
 制限時間ありとか、そういう情報は先に言え――。
 小さく舌打ちをすると、俺は周りに注意を払いながら確保されたルートへと移動した。
 桜香苑に着き、五分と経たないうちにゲーム終了の放送が流れる。
 校舎側から発狂よろしく声があがる中、俺は自分に問う。
「明日から十一月だよな……?」
 思わず声にする程度には汗をかいていた。

 俺が図書棟に戻ると、女子は奥で着替えをしているとのことだった。
「よっ! 兄さんいい汗かきましたね」
 絡んできたのは優太。
 絡まれた腕をぞんざいに払い、とりあえず椅子に座る。
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