光のもとでⅠ
「不肖の妹が、というかなんというか……。経験値の差がネックで本日二回ほど先輩を怒らせてるんだ」
「……二回って、さっきのエレベーターホールの?」
「あぁ……それを入れちゃうと要因は三つになるかな」
秋兄を三回も怒らせるなんてどうやったらできるんだか……。ある意味かなり難解。
御園生さんがかいつまんで状況を話してくれた。すると、翠は不安そうな面持ちで、
「栞さん、お付き合いしているとほかの人を格好いいって言っちゃいけないの?」
と、尋ねる。
「秋斗くんて嫉妬深いのね……。悪いことじゃないと思うけど――」
栞さんはどこか呆れたように口にしつつ翠に向き直る。
「でも、秋斗くんは面白くないと思うわ」
「どうして……?」
困った顔をしている翠に、
「鈍感」
思わず本音がもれた。
今回ばかりは秋兄の心情を察する。
「格好いい」という言葉が褒め言葉だとして、それを自分のライバルに向けて言われたらたまらないだろうな、と。
ただ、翠は俺が翠のことを好きだなんて微塵も気づいていないだけに知る由はないのだろうけれど……。
翠は御園生さんに支えられたまま 翠は眉をハの字にどんどんゆがめていく。すると、その状態でラグを見つめて黙り込んでしまった。
「……二回って、さっきのエレベーターホールの?」
「あぁ……それを入れちゃうと要因は三つになるかな」
秋兄を三回も怒らせるなんてどうやったらできるんだか……。ある意味かなり難解。
御園生さんがかいつまんで状況を話してくれた。すると、翠は不安そうな面持ちで、
「栞さん、お付き合いしているとほかの人を格好いいって言っちゃいけないの?」
と、尋ねる。
「秋斗くんて嫉妬深いのね……。悪いことじゃないと思うけど――」
栞さんはどこか呆れたように口にしつつ翠に向き直る。
「でも、秋斗くんは面白くないと思うわ」
「どうして……?」
困った顔をしている翠に、
「鈍感」
思わず本音がもれた。
今回ばかりは秋兄の心情を察する。
「格好いい」という言葉が褒め言葉だとして、それを自分のライバルに向けて言われたらたまらないだろうな、と。
ただ、翠は俺が翠のことを好きだなんて微塵も気づいていないだけに知る由はないのだろうけれど……。
翠は御園生さんに支えられたまま 翠は眉をハの字にどんどんゆがめていく。すると、その状態でラグを見つめて黙り込んでしまった。