光のもとでⅠ
 二回目の「残心」のとき、図書室にオルゴールの音が鳴り響く。
 それは翠の携帯の着信音。
 テーブルに置いてある携帯に表示された着信名は朝陽だった。
 たぶん、携帯をまだ俺が持っていると確信してかけてきている。
 携帯に出ると、後ろの音が異様にうるさかった。
「うるさい。場所を変えてかけなおせ」
 そう言って切ると、一分と経たないうちに携帯が鳴る。
『非常階段に出た。これ以上に静かな場所はないんだけど?』
「何」
『司も来るだろ?』
「朝陽、俺との付き合いは何年になる?」
『三歳からだから十四年かな』
「俺が行くとでも?」
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