光のもとでⅠ
 三階に上がると、それなりに人はいるものの、ひとつのボックスの前に列ができていた。
 きっとそこが翠のいるボックスなのだろう。
 そこを目がけて歩いていくと、自然と人が俺を避ける。
 視線自体はいただけないが歩きやすいことこの上ない。
 俺は順番待ちしている人間を差し置いて、ボックスのドアを開けた。
 すぐ目のつくところに翠はいた。
 向かって左には簾条、右には知らない男。
 簾条から非難の視線を向けられたがそんなのは無視に限る。
 翠の隣に座っていた男は俺に気づくと直立する。
 翠はその男の視線をたどって俺に気づいた模様。
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