光のもとでⅠ
 翠は俺と簾条の間で縮こまっている。
 今のやりとりが原因なのか、この場が苦手なのか――。
 それとも、「俺」が原因なのかはわかりかねる。
 何を思ったのか急にキョロキョロとし始め、テーブルのあちらこちらに置いてある携帯を見てこちらを向く。
『つ、ツカサっ、携帯っ』
 声は聞こえなかった。
 ボックスの中で音量がマックス状態なのだからそれも仕方ない。
 でも、言いたいことはわかった。
 そんな必死にならなくてもちゃんと返す。
 少し、名残惜しいけどな……。
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