光のもとでⅠ
「今、簾条がかばん持ってくるから」
その先に言葉を続けることができなかった。
俺は勝手に「潮時」と決めてしまったが、それで良かったのだろうか。
背後で自動ドアが開く音がし、簾条が出てきた。
「はい、翠葉の分とあんたの」
かばんふたつを受け取ると、
「どうしてツカサの分も……?」
「俺も帰るから」
「せっかく来たのに……?」
「来たくて来たわけじゃない」
翠がいたから、だ。
その先に言葉を続けることができなかった。
俺は勝手に「潮時」と決めてしまったが、それで良かったのだろうか。
背後で自動ドアが開く音がし、簾条が出てきた。
「はい、翠葉の分とあんたの」
かばんふたつを受け取ると、
「どうしてツカサの分も……?」
「俺も帰るから」
「せっかく来たのに……?」
「来たくて来たわけじゃない」
翠がいたから、だ。