光のもとでⅠ
「夢か現実か……」
「それってさっきのこと?」
「さっき」という曖昧すぎる言葉を使ったことに少し後悔した。
 俺は曖昧さを払拭するために言葉を補足する。
「別に困らせたいわけじゃないって言ったはずだけど」
 これで「さっき」が「告白したこと」とイコールになってくれると助かる。
「夢、じゃない……?」
 翠は切れ切れに言葉を発した。
 けれど、それが俺に向けられたものとは思えない。
 誰に訊いているんだか……。
 俺は会話を続けるために言葉を組み立てる。
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