光のもとでⅠ
 たぶん、今の俺を見てそう訊かれている。
 なら、今の俺を答えるのみ。
「……俺が気持ちを伝えたところで翠には好きな男がいる事実は変わらないだろ?」
 俺たちの関係はこれからも変わらず、今歩いているように平行状態を続ける。
 翠が俺を見るまでずっと――。
 隣から聞こえていた息遣いに変化があった。
 規則的に速くなり始めていた息が、突如不規則に乱れる。
 気になって翠に視線を向けると、翠は泣いていた。
 そして、数歩歩いてから足をを止めた。
 身体がきついのか……?
「翠、具合が悪いなら無理はするな」
 手を差し出すと、躊躇することなくそれを取る。
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