光のもとでⅠ
 間のない動作が久しぶりすぎて泣きそうになる。
 掴まれているのは「手」のはずなのに、心臓を掴まれた気分。
 そんな俺とは裏腹に、
「そうじゃなくて――」
 翠は消え入りそうな声を発した。
 次の瞬間には手をぎゅ、と握られる。
「そうじゃなくて――ツカサ、勘違いしてる」
 俺が勘違いしている……? 何を勘違い?
 俺は誰が何をどのように勘違いしているのかが知りたいわけだけど、翠の言葉は短すぎて内容を把握するのには不完全すぎた。
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