光のもとでⅠ
 そこにはデジタル表示で言われたとおりの日時表示されている。
「寒くねぇか?」
「さむ……かんせつ、のど、あたま、いたい」
「見事に声もガラガラだな」
 先生が水差しを口に近づけてくれ、ほんの少しの水分が口に補充される。
 喉も口の中もカラカラだったから、その一口がとても嬉しかった。
 先生はすぐにPHSを取り出し、「布団追加」と一言だけ話して切る。
「間接が痛いのは熱が下がるまでの辛抱だ。こればかりは休んで治すしかねぇ」
「はい……」
 私はその週の金曜日まで入院していた。
 点滴と薬でほとんどを寝て過ごし、時間が進むのなんてあっという間だった。
 蒼兄や唯兄、お母さんは毎日来てくれたけど、感染を避けるために常にマスクをしていて、面会時間も短時間と決められていた。
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