光のもとでⅠ
 何でその時間を感じかというならば、頭が痒いこと。
 髪の毛はぐちゃぐちゃだし頭は油っぽい。
 でも、まだお風呂に入れる状態ではない。
 もう少し我慢しなくちゃいけないにしても、とりあえずまとめたい。
 自室に戻ったら結ぼう……。
 そう思いながら、久しぶりに固形物を口にした。
 分量は食べられないものの、五日ぶりの塩分は身体に染みるように口の中へ広がる。
 まだ味や風味がわかる状態ではないけれど、塩分だけは感じることができ、とても優しい味だと思った。
 薬を飲み歯磨きを済ませ、部屋に戻ると私はドレッサーの前に座った。
 髪の毛を束ねるために軽く手櫛を通す。
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