光のもとでⅠ
 触っただけでもベタベタとしていて気持ちが悪い。
 横になる前に手を洗おう……。
 この状態の髪の毛にはとんぼ玉は使いたくなくて、私はなんの飾りもない茶色のゴムを手に取った。
 自然とドレッサーに置かれているものが視界に入る。
 ずっとそこに置かれていたもの。
 陶器の小物入れに柘植櫛、スタイリッシュな四角いボトルの香水。
 自分の中に衝撃が走った。
 知ってる――私、これ、知ってる……。
 嘘……なんで、どうして――。
 自分に起きた変化が信じられなかった。
 今まで必死になって思い出そうとしても、どれだけ話を聞いても思い出すことができなかったのに……。
 確かに、今それは私の中にあった。
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