光のもとでⅠ
 なんてことのない普通のお見舞いメール。
 なのに、今、このふたりに返す言葉が見つからない。
 熱が引いて風邪が治ったら――。
 私はどんな顔をしてふたりに会えばいいのだろう。
 記憶が戻ったことをいつ、どんなふうに話したらいいのだろう。
「リィー、そういえばさ、オーナーが……ってなんで泣きそうなのっ!?」
 部屋に戻ってきた唯兄に驚かれる。
「なんでも、ない……」
「具合悪い?」
「違う」
「……ブッブーーー、どれも不正解。まず、なんでもないのに人は泣きそうにはなりません。次、間違いなく具合は悪いと思う。……でも、泣きそうな理由は体調に関係ないのね?」
 唯兄は時々鋭すぎてちょっと困る。
「……ま、無理に話す必要はないけどさ、俺もあんちゃんもいつでも聞く準備はできてるから。いっぱいいっぱいになる前に吐き出すといいよ」
「……ありがと」
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