光のもとでⅠ
 眠ったところで気になるものがなくなるわけじゃない。
 むしろ、気になることは執拗なくらい夢に出てくる。
 私は寝ている間中、四月からの出来事を体験しなおすかのように夢を見ていた。
 そんな日々が金曜日から月曜日まで――。
「翠葉、ちゃんと眠れてるのか?」
 訊いてきたのは蒼兄。
「うん。知ってのとおり、お薬飲んだらすぐ睡魔に呑み込まれるようにして寝てるよ」
 そうは答えるけれど、毎回毎回夢を見ているため、決して眠りが深いわけではない。
 連日続く夢に、私は恐怖感すら抱き始めていた。
 それでも身体は睡眠を欲し、私の身体は抗うこともできずに夢の世界へ招かれる。
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