光のもとでⅠ
「……休んでいる割にはすごく疲れているように見えるけど」
「寝ていても熱で身体がだるいの。たぶん、そのせい」
 嘘がさらりと出てくる自分が怖い。
 私は記憶が戻ったことをお母さんにもお父さんにも、蒼兄にも唯兄にも誰にも話せないでいた。
 言うのが怖くて。
 人に知られるのが怖くて。
 今、とても後悔しているのは、蒼兄と唯兄にツカサを好きだと話してしまったこと。
 ツカサに気持ちを伝えてしまったこと。
 後悔の色は、時間が経つにつれて濃くなる一方だった――。
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