光のもとでⅠ
 どうしてそんな私を好きだなんて言ってくれるのだろう。
 記憶を取り戻したら嫌われるかもしれないなんて、どうしてそんなふうに思うのだろう。
 本当にひどいことをしたのは私なのに。
 秋斗さんはそれを知っていたのに。
 どうして私の髪の毛は長いのかな。
 この髪の毛さえなければ切る髪も、秋斗さんを傷つけることもなかったのに。
 この髪さえなければ――。
「リィっっっ、何やってんだよっ」
 すごい剣幕の唯兄に、手に持っていたものを取り上げられた。
「何っ!? 今度はなんなのっ!? なんで髪切ろうとしてんのっ!?」
 あ――ハサミ……。
 私は手にハサミを持っていたようだ。
 あの日と同じ、持ち手が青いスケルトンのハサミを……。
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