光のもとでⅠ
「……リィ、俺、言ったよね? いっぱいいっぱいになる前に吐きなよって」
「うん……でもまだ――」
「リィ……」
 唯兄のこんなに低い声は久しぶりに聞く。
 こんなに険しい目は久しぶりに見る。
 たぶん、入院前以来だ。
「髪を切ろうとした人間のどこにまだ余裕があるの? 『衝動』なんて咄嗟についた嘘でしょ? すでにいっぱいいっぱいでしょっ!?」
「唯兄っ……まだ、まだだめなのっ。私、まだ何も自分で考えてない。ちゃんと自分で考えたい。だから、まだだめなのっ」
「……わかった。でも、髪を切るとかそういうのはなし。いい? 絶対になし。これだけは譲らないよ?」
「はい……。ごめんなさい」
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