光のもとでⅠ
「仕事だって切羽詰まって何をする必要はないんだ。作品に関しても何にしてもリィに負担がかからないようにオーナーの許可を取って色々細かいところまで整備してきてる。何も焦る必要はないから。大丈夫だから」
「……整備?」
「うん。それが仕事の話。碧さんがお茶を持ってきてくれたら話すから。だから、その前に深呼吸。窓も開けて部屋の空気入れ替えよ」
 唯兄は立ち上がり、私にフリースの膝掛けを肩から羽織らせると部屋の窓を全開にした。
 窓から入ってくるひんやりとした空気が気持ちよかった。
 頭がすっと冷えていく感じ。
「ほら、深呼吸深呼吸!」
 言われて口を開け、深く息を吸い込み、全部吐き切る。
 そんなことを五回も繰り返すと、身体全体がすっきりした気がした。
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