光のもとでⅠ
「困った顔……?」
 唯兄にぷに、と頬をつつかれる。
「ジャケットは返しに行く。でも、勉強はひとりでする。……ノート、すごく細かく取ってくれてるから時間をかければ大丈夫だと思うの」
「そう?」
「うん」
「何? 司っちが好きってわかっちゃったら秋斗さんに会いづらくなっちゃった?」
 それもある……。
 それもあるけど、それだけじゃない。
「大丈夫だよ」
「え?」
「だって、リィが誰を好きでも秋斗さんはリィを諦めないと思うもん」
「……どうして?」
「どうしてって……リィだって同じでしょ? 司っちに好きな人がいるってわかっても、すぐに気持ちはリセットできないでしょ?」
「あ……」
 唯兄の言葉に絶句する。
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