光のもとでⅠ

06

 翌朝、私は手提げ袋に秋斗さんのジャケットを入れて家を出た。
 日中はロッカーに入れておき、病院へ行く前に秋斗さんのところへ寄ろうと思っていた。
 病院へ行く前なら引き止められたりはしないだろう。
 そう考えていた私は少し甘かった――。

 体感時間は不思議だと思う。
 楽しい時間はあっという間に終わるし、苦痛な時間は永遠にも感じられる。
 楽しみなことは待ち遠しく思うのに、来ないで欲しい時間はあっという間にやってくる。
 いつ、どの一分一秒も、決して変わることはないとういうのに――。
< 7,029 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop