光のもとでⅠ
 何がどう、というわけではないけれど、居心地が悪い気がした。
 反射的に身は縮こまり、カップを握る手に力がこもる。
 次の瞬間には、「翠葉ちゃん」という言葉と共に、私の手は秋斗さんの両手に包まれた。
 咄嗟に引っ込めようとしたけれど、それは秋斗さんの力が許してはくれない。
「翠葉ちゃんはそのままでいいんだ。……来づらかったなら来づらかったでいい。そんなことないって否定してくれてもかまわない。俺はどっちでも嬉しいから」
 ……どうして?
 顔を上げると、穏やかに笑う秋斗さんがいた。
「来づらくても来てくれた……。俺を気遣って『そんなことない』って否定してくれた。その気持ちを嬉しいと思う」
 秋斗さんは優しい。
 いつも、どんなときも――どんな私でも優しく包み込んでくれる。
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