光のもとでⅠ
 秋斗さんの「わかりやすい優しさ」は蒼兄が私にくれるものにとても似ている。
 だから、時間が経つにつれて秋斗さんという人に慣れ始めたら、すんなりと受け入れることができたのだろう。
 でも、今はその優しさがつらい。
「好き」という気持ちをもらっているうえでの優しさがつらい。
 それはきっと、誠意ある対応をしてくれる人に対し、自分が同じようにできていないから。
「翠葉ちゃん、もうゴクゴク飲める温度だと思うよ」
 その言葉に我に返る。
 考えごとをしていたら、目に何が映っているのかすらわからなくなっていて、気づいたときには私の手を包んでいた秋斗さんの手はなくなっていた。
 お茶を飲み終え、「ごちそうさまでした」と言うと、「カップはそのままで」と言われる。
 秋斗さんは席を立ち、上着と車のキーを手にした。
「じゃ、行こうか」
「はい」
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