光のもとでⅠ
 足音を聞きつけたのか、ナースセンターから出てきた相馬先生に駆け寄り縋りつく。
「おまえ何走って――」
「先生っ――泣きたくないっ、私、泣きたくないっっっ」
「は? なんのこった……」
 会うなり脈絡のないことを言っている自覚はある。
 先生は何があったのか訊いてくれたけれど、私は何ひとつ話すことはできなかった。
 そんな私を先生はすっぽりと抱きしめ、
「とりあえず、俺の心音でも聞いてろ」
 と、片手でずっと頭を撫でてくれていた。
< 7,048 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop