光のもとでⅠ
家に帰れば逃げるようにお風呂に入り、夕飯の席では食べることに専念する。
食べ終わると、勉強を理由に部屋に篭った。
知りたいことはたくさんある。
訊きたいこともたくさんある。
でも、それを尋ねることは私の記憶が戻ったことを意味してしまうから、訊くに訊けない。
今日、秋斗さんに訊いてしまったのは失敗だったと思う。
記憶が戻ったと気づかれていたらどうしようか、と気が気ではない。
怖い――。
何を考えるよりも、その感情が先に立つ。
「翠葉?」
部屋の外から蒼兄の声がした。
「はい」
私は咄嗟に英語のノートを広げる。
食べ終わると、勉強を理由に部屋に篭った。
知りたいことはたくさんある。
訊きたいこともたくさんある。
でも、それを尋ねることは私の記憶が戻ったことを意味してしまうから、訊くに訊けない。
今日、秋斗さんに訊いてしまったのは失敗だったと思う。
記憶が戻ったと気づかれていたらどうしようか、と気が気ではない。
怖い――。
何を考えるよりも、その感情が先に立つ。
「翠葉?」
部屋の外から蒼兄の声がした。
「はい」
私は咄嗟に英語のノートを広げる。