光のもとでⅠ
 気まずい空気が流れると、タイミングよく携帯が震え始めた。
 着信は唯兄からだった。
「ごめん、電話……」
 断りにしてはあまりにも中途半端な一言を残して通話ボタンを押す。
『リィ? ご飯食べられた?』
 唯兄の声が思いのほか大きく聞こえて少し困る。
 これでは、間違いなくツカサにも聞こえてしまっているだろう。
「唯兄……そんな大きな声で話さなくても聞こえるよ」
 応答する自分の声が小さくなってしまう始末だ。
『え? なーにーーー!? そこ、外? リィの声より風の音がすごいんだけど?』
 唯兄の声はボリュームを下げるどころか大きくなって返ってくる。
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