光のもとでⅠ
 どうやら相手の声が聞こえないと、より大きな声で話しかけるというのは本当らしい。
 何もこんなときにわからなくてもよかったのに……。
『胃の調子は? お弁当食べられた?』
 相変わらず声のボリュームが変わる気配はない。
 家を出るとき、確認の電話をするとは言われていたけれど、まさか本当にかかってくるとは思っていなかった。
 そして、それに今答えなくてはいけないかと思うと、胃の辺りがキリキリと痛む。
「ごめん。午後の授業始まるから教室に戻らなくちゃ」
 私はそう言って通話を切った。
 通話が終わったところで問題がなくなったわけではない。
 まだ、ツカサがこの場にいるのだから。
「……胃の調子、悪いの?」
 当然すぎる質問だった。
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