光のもとでⅠ
 長いこと風に身体をさらしていたからか、体温がだいぶ奪われたようだ。
 沈黙の場に、飛鳥ちゃんの元気な声が響く。
「翠葉ー! もうすぐ予鈴鳴るよっ! 何、この風っ。さっむ」
 クラスメイトが集団でやってきて、ツカサもろともその場を呑み込む。
 そして、すぐに予鈴が鳴った。
「俺は別にどっちでもいいけど?」
 ツカサは周りに左右されることなくジャケットの話を続けた。
「大丈夫。自分で返しに行くから」
「……翠」
 名前を呼ばれたけれど、話の続きが聞こえてこない。
 ただ、刺さるほどの視線を感じていた。
 顔を上げると、厳しい目をしたツカサが話の続きを口にする。
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