光のもとでⅠ
 マンションの湊先生の部屋とはだいぶ違う。
 どちらかというと、栞さんの家のほうが共通項が多い気がした。
 真白さんの人柄が表れるような、そんなおうちだった。
「どうぞ、かけて?」
 リビングのソファに座ると、真白さんからやっと下ろしてもらえたハナちゃんがソファに飛び乗り、私の膝に足をかける。
「ハナちゃん、こんにちは。病院以来だけど覚えてくれてる?」
 黒いくりっとした目は潤んで見える。
 その目に話しかけると、ペロリと顔を舐められた。
「犬って意外と覚えているものよ」
 真白さんがトレイを持ってこちらに来る。
 そこで本来の目的を思い出してソファを立った。
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