光のもとでⅠ
 蒼兄は顔をくしゃりと歪めて笑う。
 けれど、その表情から「心配」の色がわずかに薄まった。
 薄まった分は「呆れ」が補充される。
「翠葉は言い出したら聞かないからなぁ……。意外と強情な妹であることはよく知ってるつもり」
「蒼兄……」
「わかった。唯にも母さんにも俺から話しておくよ」
「ごめんね。――ありがとう」
 根本的なことは何も話していない。
 でも、たったこれだけのことを話しただけで、少し気持ちは楽になった。
 複数のことを並行してこなせる器量は私にはない。
 だから、今目の前にあるものをひとつずつクリアにしていこう。
 順番――。
 それが決まっただけで、ずいぶんと頭がすっきりしたように思えた。
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